サイト内の現在位置

連載コラム ある変革実践リーダーの荒波奮戦航海記 ~海図のない海をすすむ~

若林 健一

~はじめに~ ゼロと言うより、マイナスから?

2020年3月27日

「その考え、すごく良いですよ。それ、広く社会に発信しましょうよ。」

あるメンバーから言われた一言に背中を押され、本コラムの執筆を決意した。

私はNECマネジメントパートナー(以降NMP)において、AIアナリティクスを中心にした高度化サービスチームの立ち上げメンバーだ。

このチームで私が成し遂げたいことは

「全てのヒトを輝かせる」

ということである。

なぜなら、端的に今の日本は「ヒトが輝いていない」ように私の目には映るからだ。2017年に発表された米ギャロップ社の調査において、日本企業は「熱意あふれる社員」の割合が、139カ国中132位と最下位レベルだったと言うのは有名な話だが、つまり今の日本において企業は「ヒトを輝かせていない」ということであり、これはかなりの社会問題だと思っている。その問題意識から私はNECグループという創業120年を超える老舗大企業において自分たちが挑戦している実践事例を発信することで、同じように日本の大企業の中で挑戦しようとしている人たちの背中を後押しし、ひいては日本社会の全体を元気にさせられないかと考えた。なぜなら昨今ベンチャー企業へ人材や資金がある程度流入する流れが出来てきているが、まだまだ現在の日本社会においては大企業に多くの有形無形資産があり、それを有効活用することこそ、現在日本を厚く覆っている「閉塞感」をぶち破るドライバーになると考えているからだ。そのことをメンバーに話したところ、冒頭のセリフに至ったという訳である。

私のチームはたった一つの事例、たった二人からのスタートだった。チーム設立当初は「PDCAは回さない」「上にお伺いは立てない」「仕事は好きなことをする」と言った方針で活動していたことから、周囲から奇異な目で見られることも多く、実際、あちらにぶつかり、こちらにぶつかりと言ったことを繰り返しながら、今では40名弱のメンバーが集結した正式な組織となった。そして設立2年間で200個に上る高度化プロジェクトの実績を積み上げるまでに成長した。ありがたいことに昨年は、NECグループ10万人の中で最もバリューを実践したチームに贈られる、「バリュー実践賞」など、社内の数々の賞も頂戴した。

こういう話をすると、「元々精鋭部隊が集められたチームだから出来たのでは?」と思われるかもしれないが、実態は全く違う。ゼロからのスタート、と言うよりむしろ、ゼロですらない、マイナスからのスタートと言った方が良いくらいであった。現時点においても、一定の成果は出せたものの、まだまだ課題は山積み状態の未成熟な組織というのが実態だ。

それ故、本コラムは

「裸になれ」

と言うコンセプトで発信していきたいと思っている。
これはあるメンバーから言われたパワーワードなのだが、AIなどの先端テクノロジー活用と言うとキラキラしている仕事のように思われがちだが、実態は泥臭い仕事の積み重ねだったりする。何事も新しいことへの挑戦と言うのは、絶えず困難がつき纏い、試行錯誤を重ねながら前に進むしかないため、泥臭くアナログな人間業を駆使することも多い。そう言った「裸の部分」をさらけ出すことこそ、多くの人の背中を後押しすることにつながると考えており、それ故、本コラムはAIの専門的な内容と言うよりは、組織変革の起こし方や、新しいことへのチャレンジ、マインドチェンジといったことにフォーカスを当て、包み隠さず実践事例ベースで発信していきたいと思っている。

さて私のチームの軌跡を紹介する前に、我が社の説明を少々させて頂く。NMPはNECグループのスタッフ業務を集結させて出来た会社であり、いわゆる 経理、経営管理、人事といったスタッフ業務を提供している、シェアードサービスおよびBPOサービスの会社だ。 NECグループでは会社別のスタッフ機能や、同一会社の中でも個別最適化された業務プロセスが存在してコスト高となったため、これらを 一ヶ所に集結させ業務改革を行うことをミッションとして、2014年にNMPが設立された。主にオペレーティブな業務が切り出されたことによる従業員のモチベーションの問題や、出向元との関係でどこまでの業務をどちらがやるかの線引き問題など、課題は山積み。まさに「切り出されたカオスな会社」であった。これが冒頭で申し上げた、「ゼロと言うより、マイナスからのスタートであった」の意味するところである。また「NECグループの会社だから、AI人材が最初から沢山いたのでは」と思われるかもしれない。しかしNMPはスタッフ機能を移動させた会社なので、そのような人材が多い訳もなく 、プログラミングが出来るメンバーでさえ本当にごくわずか、というレベルであった。

こういったなかで、私のチームがどのような経緯で設立され、どのようなチャレンジを続けているか、次回以降、実話を元にリアルな実践者の話をお届けする。ぜひ楽しみにしていただければと思う。

執筆者プロフィール
若林 健一
NECマネジメントパートナー株式会社
業務改革推進本部所属
1980年 生まれ
2002年 NEC入社
2018年 NECマネジメントパートナーにて高度化サービス開発チームを設立
経営管理・人事・マーケティングを中心に、データアナリティクスとAIを活用した NECグループの経営高度化について、2年間で200プロジェクト実施
NEC Contributors of the Year2019など数々の賞を受賞
執筆者:若林 健一