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失敗は「してもいい」のではなく「欠かせない」
PJ活動お役立ちコラム
第43回 2021年09月21日
失敗は「してもいい」のではなく「欠かせない」
Learn from the mistakes of others. You can’t live long enough to make them all yourself.
(他人の失敗から学びなさい。あなたは全ての失敗ができるほど長くは生きられないのだから)
アメリカ合衆国 第32代大統領夫人 エレノア・ルーズベルト
プロジェクト成功のためには、他の失敗したプロジェクトから学ぶことも大切です。
しかし、なぜ失敗からの学習機会が少なく、失敗が繰り返されているのでしょうか。
今回は、失敗のとらえ方を根本から覆し、仕事や日常生活で「究極のパフォーマンス」を引き出すことを目的に執筆された本をご紹介します。
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著者 :マシュー・サイド
訳 :有枝 春
署名 :失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織
発行 :株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン
発行年:2016年12月
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「失敗との向き合い方」がすべてを決める
航空業界と医療業界の大きな違いは何でしょうか?
それは、失敗に対する「姿勢」だと本書では語っています。
医療業界では、失敗を認めなかったり、言い逃れをして、学習に欠かせない貴重な情報源を活用することもないままに葬り去ってしまう「クローズド・ループ現象」が起きている。
一方で航空業界では、事故調査は教訓を得られる貴重な学習のチャンスととらえ、「失敗から学ぼうとする姿勢」が組織文化の奥深くにある。としています。
では、我々が、航空業界が持っている「失敗と向き合う姿勢」を取り入れるには、具体的にどうすればよいのでしょうか?
また、失敗から学ぶことを組織文化として全体に浸透させ、さらに失敗に対してオープンな組織文化をどのように構築すればいいのでしょうか?
失敗から学ぶことを阻害するもの
まず、失敗から学ぶことを阻害するものは何かを認識する必要があります。
本書では以下のようなものをあげていますが、みなさんにも心当たりがあるのではないでしょうか。
- 部下の主張を妨げる「上下関係」
- 「言い逃れ」をする文化
- 失敗の報告を阻む「組織文化の壁」
- 「努力」による判断の誤り
- 「認知的不協和」による事実の解釈の歪み
- 自尊心や思い込み
- 完璧主義
- 犯人探しや非難・懲罰志向 など
失敗から学ぶためには
では、失敗から学ぶためにどのようなアクションをとればよいのでしょうか。
本書から一部抜粋してご紹介します。
- 上司は参加型管理の技術を取得する/チームメンバは主張の技術を取得する
- 目に見えるデータだけでなく、見えないデータも含めたすべてのデータを考慮する
- 注意深く考える力と、物事の奥底にある真実を見抜いてやろうという意思を持つ
- 失敗に対してオープンで正直な文化をつくる
- 量をこなして、失敗を高速で繰り返す
- 試行錯誤をして、選択を繰り返す
- フィードバックからはじめる
さらに、失敗から学ぶためには2つの要素、「学習チャンスを最大限に活かすシステムづくり」と「情報を提供してくれるメンバ」が必要不可欠です。
すぐにすべてを身に付けることは難しいのですが、本書では、これらを実現するために以下のような手法を紹介しています(詳細な説明は割愛)。
みなさんのプロジェクトに試してみる価値は十分にあると思いますので、ぜひ試行錯誤しながら取り入れてみてはいかがでしょうか。
- 成長型マインドセット
- マージナル・ゲイン
- リーン・スタートアップ
- 「失敗ありき」での設計
- 事前検死 など
最後に、本書では『失敗から学ぶことは最も「費用対効果」がよい』と語っています。
この機会に、我々の成長と進化に欠かせない「失敗」とその学びについて考え、失敗から学ぶための行動を起こして、仕事と生活のパフォーマンスを上げてみませんか。
今回のご紹介がみなさんのプロジェクト成功の一助となりましたら幸いです。
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